今日は朝から代官山にお住まいの重鎮スタイリストさん宅に
アンティーク家具の修理預かりに行ってきました。
撮影用にご自宅を貸し出した際に、撮影スタッフがチェストに養生テープを貼り
其れを剥がした際に表面の古い塗装を一緒に剥がしてしまったとの事。
こういう場合、本当は周りの古い塗装も一度剥がして木部の研磨から始めないと自然には仕上がらない。
部分的に補色して自然に合わせるのは難しいのですが、オーナーさんの希望としては元々のオリジナルの古い塗装の風合いは残したいとの事。
使い込んで朽ちた味や、ご自分で思い入れのある傷もあるのだろう。
リビングに飾られていた昔飼っていたワンちゃんの写真や、そのまま置かれているケージや玩具達を見て、そんな気持ちがふとよぎりました。
そもそも、表面のツキ板が古過ぎて強い塗装剥離剤には耐えられなさそうだし、、、。
何とかやってみよう。
さっそく店に帰って修理に取りかかる。
まず塗装が剥がれてしまった箇所に、色味を合わせて希釈したニスを、丁寧に薄く薄く平筆で塗り重ねて行く
其れが乾いたらタンポ塗装でならす。
ならしたら、また筆で塗装を塗り重ねて、乾かしてタンポでならす。
これを繰り返して、剥がれた塗装を盛り上げて、なるべくフラットにして行く。
そして、欠損ヶ所以外の風合いも合わせる為にチェスト全体の塗装もかけなおして、スチールウールで光過ぎた艶を落ち着かせて、アンティーク専用のワックスをかけて完了。
依頼外ですが、引き出しの調整とクリーニング&ワックスもやらないと何だか気持ちが悪いのでササッとオマケで手を入れる。
生まれ変わりました。
何でも丁寧に手をかけると、人の気が注入されるみたいで、家具もイキイキとします。