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キッチンカウンター&キャビネット制作。

今回は、一般住宅のキッチンカウンター&キャビネット制作の施工例をご紹介。


施工前の現場写真がこちら。
既存のカウンター撤去もされておらず、壁面などの古い塗装もそのままで
薄暗く、ちょっと寂しいイメージです。。

アンティーク家具や、クラシカルなニュアンスのインテリアがお好きな方の中で
新築やリフォームの際に、家具やファブリック、照明器具などのアイテムはこだわって探したけど
なかなか水回りに関わる部分は難しくて、オーダーで作るのは予算的にも厳しい。
色々調べるのもしんどくて、結局は大手メーカーのユニット製品をオーダーした。。。
という方も、実際は多いと思います。


普段、店舗の什器を数々制作している我々にとっても、家庭の中で実際に使用する水回りに関わるもので
しかもキッチン&キャビネットの様な高い機能性を要する据え付け家具を制作する、というのはなかなか難しい課題でした。





今回の制作にあたっての重要なポイントは
●アンティーク家具やビンテージテイストのインテリアと調和する様なデザインと素材感にする。
●キッチンメーカー品に劣らない機能性や清掃性を備える。
●食器や電子レンジや湯沸かしポット、冷蔵庫までがスッキリと隠せる収納力を持たせる。
●価格も極力リーズナブルに押さえたい。
などなど。
細かく要点を盛り込みながら、住空間に自然になじむデザインと、現場のサイズに無駄無く
効率的に収まるサイズを算出し
何よりも、実際に使用する女性にとっての使い易さを緻密に考えながらプランを進めました。


細かな機能や構造を学ぶために、まずは大手専門メーカーのショールームをいくつも訪ねて回りました。
見た目のかっこよさなどをさておけば、既製のキッチンユニットの機能性や構成などは流石に研究されていて、非常に参考になるものでした。
安価な物から高級オーダーキッチンまで、数々のメーカーのショールームへ伺い、色々とお話を聞かせて頂きました。
そして、おおまかな使い勝手や収納物を想定したレイアウトを組み、まず最初に出来上がったラフプランの3D画像がこちら。

キッチンカウンター&収納キャビネットは共に、外部の仕上げ材としてオークの無垢材&突き板材を、
内部の見えない部分には耐水/清掃性を考慮して、チャコールグレー色のメラミン化粧板を選定しました。
カウンタートップに関しては、この時点ではステンレスや耐熱樹脂素材なども検討範囲に入っており、
仮想のビジュアルには、暫定的にグレー系統色の天板をあてがいました。
収納キャビネットの内部には、食器や調味料・缶詰・その他の食品類などをはじめ、湯沸かしポット. 炊飯器 . 電子レンジ .冷蔵庫
などの電化製品まで、生活感を醸し出す全ての物をスッキリと隠してしまう構成に。
キャビネットの中心部に作ったガラス棚&内部照明を仕込んだ窪みのスペースが、大きな収納面の圧迫感を軽減してくれます。 
背面側に、少しでも何かを置けるスペースがあるという事も重要です。




3Dビジュアルを見ながら再度デザインを詰め直し。

天板の素材に「シルバーグレー」という濃い色味の御影石を選定。
グレーやブラックの粒子の中にキラッと光る結晶を含んでいる渋めな石です。
テーブルトップの濃い色味が、オーク材の乾いた印象をぐっと引き締めてくれます。
ステンレスや樹脂素材よりも、やはり天然素材の雰囲気がありますし、大理石などに比べると硬度が高く、レモンや
オレンジなどの食品の酸で変質する心配もありません。
しかも、コスト的にも当初オーダー制作を検討していたステンレスのトップよりも遥かに安価でした。







角張って無機質な印象だった天板のコグチは、飾り面取りをして装飾する事にしました。
石材の断面に丸みを持たせる事で、何かをぶつけた際の石自体の欠けなどのリスクを低減しながら、
全体の見た目も柔らかい印象になります。
こちらで指定したオリジナルの形状に合わせて、中国の工場で開口・整形加工してもらう事が出来ます。
ディティールのこだわりですが、この部分によって大分全体の印象が変わります。
当初、キャビネットに向かって右側にある冷蔵庫が収納されている扉と他の収納部の奥行きは、デザイン
優先で統一されており前面一列に合わせていたのですが、キッチン内で作業をする人のスペース確保と動き
やすさを最優先して考え直し変更。




天板の右端は跳ね上げ拡張式のエクステンション天板に。
食材やお皿やグラスなど、ちょっとした物を置ける意外と重要なパーツです。
開閉時の操作性を考慮して、本体側に合わせたオーク材に素材変更しました。






カウンターにセットするシンクの内壁には2層の段が付いていて、まな板や水切り板、作業台や洗った食器の水切りカゴ
などを組み合わせる事が出来ます。
見た目にもエッジの立ったシャープな印象です。
入り隅が丸まっている方が清掃しやすいという見解もありますが、このシンクはナノレベル(1ナノメートル=1/10億メートル)
の細かい粒子の特殊コーティングを施した物で、汚れやカビの侵入を防いでくれます。







水栓金物は、GROHEの物を。
水道水/浄水の混合栓で、見た目も非常にシンプルでスッキリした印象。
ヘッドが引き出せるのでシンク内の洗浄時にも便利です。




そして、最終的にオイルガードやダクトフード、床や壁や梁などもパースに組み込み、実際に室内の中で見えるキッチンの
ビジュアルバランスを確認します。
図面もあわせて作業導線なども細かくチェックしてから、実物の制作に移りました。





家具工房での製作過程チェックや、現場での設備工事などを進めながら
何とか設置完了。
まずは、完成品のディティール写真から。



前述のオーク突き板は特注の物で、ベニヤにスライスしたオークを貼付ける際にあえて黒いボンドを使用しています。
導管の溝に黒い色がうっすらと見えるのがポイントです。
塗装は、watoco waxで仕上げ。
亜麻仁油を主体とした植物由来の塗料で、塗装方法も刷毛で塗って拭き取るだけと非常に簡単です。
塗膜を張らないのにしっかりと防水効果もあって、将来的なセルフメンテナンスも容易。
ピューターの取っ手はフランスからインポートした物で、さりげなく上品なアクセントになってくれます。

カウンターの前面部はグラスやボトルなど奥行きの無いもの専用に、奥行き10cmの収納を。
扉をつける事で正面側に装飾性を持たせつつ、料理をしている人と導線が干渉しない位置
からグラスを出し入れ出来るというメリットが生まれます。
キッチンに立って作業をしている女性はいつも手一杯なので、家族や友人にカウンター前部から自由に
グラスを取ってお手伝いしてもらえるだけでも、意外と助かるのです。

シンクに作業台をセットした写真。
水きり穴の空いたトレーパーツを一段深い位置にセットすれば、野菜などの食材を乗せて洗浄する事が出来ます。
手前側に開口しているのは包丁収納のスペース。

使用頻度の高い物だけでも、シンク手前のこの場所にあると便利です。
簡単に潰してしまえるスペースも隅々まで有効活用しました。

カウンターのサイドには一升瓶の高さまで入る引き出し式のワゴンカート。
手前に全てを引き出せるので、奥の物まで非常に探しやすいです。




背面収納側にも同じシステムの引き出し式ワゴンを。
こちらは床から天井まで丸ごと一体の、とても背丈も高く大型な引き出しですが、女性が片手で楽々と引き出せる収納システムです。

全ての扉や引き出しには、オートクローズ機能の金具を取り付けているので
片手に何かを持っていても、手が汚れていても、脚や肘をつかって少し押すだけで自動的に最後までゆっくりと閉まってくれます。


この扉の裏側部分に付いている細い板の様な物は、オートヒンジ。
左右どちらの扉から開閉しても自動で真ん中の隙間を塞いでくれます。
両扉を左右から自由に開けたい。でも、両扉の間の隙間も隠したい!
という難しい要求に応えてくれるパーツ。
食器を収納するキャビネット内部に埃が入るのを防いでくれます。

電子レンジや湯沸かしポット、冷蔵庫などの家電機器を収める部分には、開閉しつつ奥行き方向に押し込んで収納出来る扉を取付け。
普段は扉をオープンにして便利に使用しながら、来客時には扉を引き出して閉じて全てを隠す事が出来ます。




ガスレンジはRinnaiのDELICIAシリーズ。
夫々の調理方法にあった火力を自動調整してくれる設定機能が付いている優れもの。

キッチンに立つ人の利き腕を考慮して、強化力コンロの配置なども細かく検証。
今回のケースではコンロ近くの右側の面に袖壁が立っているので、作業する人が右利きであれば強化力のコンロは左にレイアウトした方が、大きなフライパンや中華鍋などは振りやすいのです。

壁面には洗浄も可能な石材調のタイルを張り、細かな調理器具をフックできるステンレス製の器具を取付けました。

全体写真がこちらです!

細部まで制作前の3D画像の通り忠実に再現され、現場への据え付けも寸分狂わずピタッと収まりました。



c:hordでは、店舗だけでなく御家庭内の家具製作も承っております。
御予算やご要望にあわせてプラン致します!
是非お気軽にご相談ください。

03-3560-6915
info@chord.co.jp

DATE.

2014. 1. 9


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